「あとは、皆さんとご相談してどうするか決めてください。
私は失礼します」
と司会の西寄ひがしさんはおっしゃって、スタスタと舞台下手袖へともどっていってしまいました。
えっ これはどんな展開なの?
と思って、きよしさんをみつめると、
「よろしいんですか?」
とわたしたちにおたずねになったのです。
昨夜、習志野文化ホールでおこなわれたコンサートでのこと。
”ふれあいコーナー”が終わって、26日にさいたまスーパーアリーナで開催された「アニサマ」の話題になると、
「広いんですよ。そこでね、皆さんがワーッと迎えてくださって。その声の厚みがすごいんです。
皆さんにも体感してほしいですよ」
とその胸にそのときの感動をよみがえらせながら勢い込んでそうおっしゃっると、お隣の西寄さんに、
「そういう経験、考えてみー? ありえなくない?」
と(笑)。
そして、
「皆さんにも体感してほしいけど、でも今日は演歌のコンサートだから...」
ときよしさんがいいかけると、”唄ってぇ~~!!!”の大歓声。
”うわあ、どうしよう”
という様子ながら、唄いたそうなきよしさんに、
”唄いたいんでしょ。もう、好きにしてください”
と、そんな感じで西寄さんは、ササッとステージを退散されたというわけなのです(笑)。
※エントランスの全身ボード。
”大切な町、浅草”と書かれていますね。
「きよしの日本全国 歌の渡り鳥」でスタートすると、
来場のお礼をおっしゃり、
「今日は全員にもれなく、歌の主人公の思いを伝えたいです」
と、パワー全開(すぎる?)きよしさんでした。
セットリスト、構成は、わたしが前回、参加させていただいた8月10日の宇治市文化センターでのコンサートから、また新たな展開が少しあり、”ふれあいコーナー”のラストの”きよし愛の劇場”がお休みで、そこで、”皆さんと相談して決めてください”という展開があったのです。
「じゃあ、唄わせていただきます。
ワンコーラスで?」
とのきよしさんの問いかけに、
”フル~!!!”
と大反響(喜)。
きよしさんは”わかりました”というようにうなずくと、
「あのう、”おめえら”とかですね、”やるぜ~”とか、僕いいますけど、それはロックのかけ声で、”おれについてこいよ!”という意味でございますので...」
と前置きされて(笑)。
「気持ちを切り替えて。シューッ!」
と呪文のようにおっしゃると、
「てめーら!」
じゃない(笑)、
「おめえーら、いくぜいっ!」
と大きな声でおっしゃったのです。
「限界突破×サバイバー」
をド迫力の歌声と頭を前後に振っての激しいパフォーマンス付きで熱唱され、つづいて、
「碧し」
を、切なく、熱く、そして誠実に唄ってくださたので、わたしは感動のただなかにおりました。
唄いおえると、
「ハーッ」と大きく息をはかれ、「暑いっ!」と。
アクアブルーのサテンのロングジャケットの三つ揃いのスーツをお召しになっての激しい歌唱でしたから、それはそうですよね。
きよしさんは、「上着を脱がせていただいてよろしいでしょうか」
とおっしゃり、皆のうなずく顔をご覧になると、上着を脱いで、それをどうしようか? という様子であたりをきょろきょろ。
上手袖からスタッフが受け取りにでてきてくださったようで、そちらに手渡しされると、
「ああ、くそ暑いっ!」
と(笑)。
ちなみに前回(8月10日)を基準にしますと、「ふるさと」にかえてこの2曲を唄ってくださったことになるかと思います。
そして、9月5日にリリースされる「男の絶唱」のニューバージョン(D、E、Fタイプ)のインフォメーションをご自身でされると、
Fタイプの「片恋のサルサ」、
Eタイプの「芝浜恋女房」
Dタイプの「酒場のひとりごと」
という順番でF、Eは1コーラス、Dの「酒場のひとりごとは2コーラス唄ってくださいました。
2コーラス目は3番でしょうか。”面影、向かいにすわらせて”というフレーズに、ある光景がうかんで、こころにしみたのです。
話題が前後しますが、”ふれあいコーナー”にはいる前の西寄さんをまじえてのトークのなかで、
「ちょっと早いんですけど、来月、ひとつ年を重ねる、きよしさんにお祝いをしましょう」
と西寄さんがおっしゃってくださったので、まだお誕生日前なので全員での”おめでとうコール”は控えたものの、客席からは大きな拍手と、”おめでとう”の声がきこえてきたのです。
「ありがとうございます。
年齢を重ねることは幸せを重ねることだと思っているんです。
皆さんにもそう思っていただきたいです。
苦しみや悲しみは誰しもにあって。
でも、それらがあるから、幸せを感じられるんだと思います。
僕、高校生のとき、高校生で演歌歌手になるのに憧れていたんです。
”このあと、仕事がありますので早退します”っていったりするのに(笑)。
先輩にそういう方がいたんですね。ウ○○○カ○○さんていう方で、大川栄策さんの事務所からデビューされていたんです。
その方はその後3年くらいで結婚されてやめられたんですけど(笑)。
僕は、”氷川きよし”に骨をうずめて唄っていきたいと思っていますよ」
と、きよしさんは力をこめてそうおっしゃると、
「”氷川きよし”は皆さんが一緒につくってくだった船ですからね。
船で全国をまわるんですよ。
そういう意味で『きよしのスイスイマドロスさん』もつくったんです」
と胸をはっておっしゃったのです。
すると、
「今、急に思ったわけでは?」
と西寄さんが水を差すようなひとことをおっしゃったのですが(笑)、
「違いますよ! そんな簡単な気持ちでアルバムに入れたりしませんよ。作家の先生に思いをつたえて、”アレ”してね」
とさらに胸をはっておっしゃたたのです(笑)。
そして、総ヒョウ柄のスーツで、リズム歌謡の”を歌唱されるコーナーでは、
「満天の瞳」
「虹色のバイヨン」
「情熱のマリアッチ」
を唄ってくださいましたが、
「満天の瞳」では、
”♪満天の星が出会うとき 心とこころは結ばれる~ ”
と、アカペラできよしさんが歌いだされたので、ドキドキしたのです。
そして、そこで一転、アップテンポの間奏が奏でられ、ほとばしる思いがつたわってきて、きよしさんの歌唱で、その作品の主人公のちがった表情がみえてくるのを感じて、感動したのです。
と、また、静かに、
”♪ありがとう~”
と、アカペラでワンフレーズ唄ってしめくくられたのです。
オープニングで、
「”僕はいつでもここ(ステージ)にいます”という思いで、唄っています」
とこの日もおっしゃっていて、その言葉に幸せな思いにさせていただいたわたしでした。
いよいよ終盤ということろで紫の着物に文様の入った白袴で登場されたきよしさん、
この日は、前回(8月10日)の「博多祇園山笠」にかえて、
「風の男(ひと」
を唄われ、
「箱根八里の半次郎」
「ちょいときまぐれ渡り鳥」
をますます熱く唄われて、ラストトークとなりました。
「40歳...。どんな40歳になるでしょう。
やっぱり年齢的に歌の幅が広がるかなって思うんですよ。
形にとらわれず、あったかい気持ちや、忘れかけられているこころを歌でつたえていきたいですね。
こころあるものを。
まあ、絶望的な歌も唄っていて。そういう歌も好きなんですけどね」
と、ここで、「最終フェリーで着いた町」(もしかして「残雪の町」でしたっけ?)のタイトルをお話しされて、
「わかります?」
と。
そして、
「これからの”氷川きよし”を期待していただきたいです。
これからの『男の絶唱』を唄いますが、この作品は、僕の30代の10年間を凝縮したものだと思っています。
あの、大豆を煮て、それをつぶして、布でギュッとしぼったその1滴なんです」
と、きよしさんは凝縮をお豆腐づくりにたとえて説明してくださると、
「男の絶唱」
「白雲の城」
を朗々とドラマティックに歌唱されたのです。
迎えたアンコールでは、
「イヨマンテの夜」
「きよしのソーラン節」
「きよしのズンドコ節」
をそのひと節、ひと節に、いっそうの力をこめてパワフルに唄ってくださったので、わたしはわれを忘れて聴き入り、見入り、ペンライトを振り、フィナーレでは、あまりにも美しく光り輝くきよしさんの雄姿のそのまぶしさに目をこらしながら、拍手を贈らせていただきました。
※駆け足での更新でごめんなさい。
明日の朝、締切の原稿があるので、午後の取材とともにしばし仕事に集中します。
きよしさんは、今日、常陸太田市民交流センター パルティホール 大ホールでおこなわれる「新・BS日本のうた」の公開収録に出演されますね。
お友達のOさんがお誘いくださいましたが、お仕事が調整できなかったのです。
でも、明日は午後からはNHKふれあいホールに、「ごごウタ」の観覧にいかれることになりました。
そのためにも、今日はこのあと仕事がんばりたいと思います。
明日の夜には観覧の様子や、習志野文化掘るでの”ふれあいコーナー”でのこと、きよしさんのバースデーに向けて考えていること、これからのことなど、書かせていただければと思っています。